バイクのカウルの役割とは?
バイクの正面に取り付けられているカウルは、バイクの外観の第一印象を決める「顔」も言える重要なパーツですが、もともとこれは走行時の空気抵抗を軽減するほか、風の流れを整える役割を備えています。
強風の日に自転車で走行した場合に比べて、カウルがついているバイクは風(空気抵抗)の影響を受けにくいです。
単にバイクが自転車よりもパワーがあるから空気抵抗をものともしないわけではなく、カウルがとても重要な役割を担っていることになります。
カウルは空気抵抗との戦いから生まれたパーツ
現在ではもうすっかりおなじみのパーツとなっているカウルですが、このパーツはもともと航空機に取り付けられるために開発されたものでした。
時は第一次大戦後の1920年代、当時は航空機の登場とともに、さまざまな乗り物で「スピード」が重視された時代でもありました。
新しい技術が開発・導入されていくにつれて乗り物のスピードもアップしていったわけですが、そうなると空気抵抗の問題が深刻化していきます。
航空機の場合はボディを鋭角にすることで対処することもできますが、バイクの場合ではその方法にも限界があります。
バイクの高速化が進んでいく過程で、カウルが取り付けられるようになったのです。
スピードを高めようとすればするほど空気抵抗が邪魔になってしまう、だったらその空気抵抗を少しでも減らそう、そんな空気抵抗との戦いから生まれたパーツと言えるわけです。
なお、もっともスピードが求められるバイクレースにおいて、最初期にカウルが装着されたのは1950年代のことでした。
航空機用として開発されてからカウルがバイクに実用化されるまで、かなりの時間が経過していることになります。
ここから一般のバイクにカウルが装着されるようになるのは、さらに時間が経過して1970年代です。
当時は、まるでバイクの正面にヘルメットを装着させたような物々しいデザインをしていました。
なお、意外にもこの70年代にはまだ日本ではカウルの装着が認可されていませんでした。
あくまで「スピードを出すためのパーツ」との認識から、危険性を重視してのことだと言われています。
そしていよいよ日本でカウルが装着されるようになったのが1980年代で、1982年に発売されたホンダの「CBX400Fインテグラ」が最初と言われています。
ただし、国内のバイクメーカーではすでに海外向けの輸出モデルにおいてカウルつきのバイクを開発しており、まったく経験がない状態での国内デビューではなかったことを指摘しておくべきでしょう。
このホンダのバイクでは、単にスピードアップを目指すだけでなく走行中の疲労軽減といった走行性も重視したうえでカウルが装着されており、従来の「カウル付きバイク=危険」というイメージを改めることに成功したと評価されています。
その後、続々と国内メーカーでもカウルを装着したバイクを開発・発売するようになり、現在ではすっかり定着した状況になっているのです。