ブレーキングの基礎知識

危険を予測することが走行の基本

どんな状況でバイク走行をしていても、危険がどこかに潜んでいるものです。
高速道路では強い風にあおられることもありますし、障害物や前方の車の事故、トンネル直後の渋滞などもあります。
一般道では、歩行者や隣を走っている自動車、路上の落下物などライダーの安全を脅かすものが多く見られるのが現実です。
こうした状況でも安全に走るためには、安全に停まる技術をしっかりと覚えておかないといけません。
そのためにも、ブレーキングを練習を日頃からきちんとしておくことが大事なのです。

しかし、単に技術を身に着ければ安心というわけではありません。
本当の安全を実現するためには、常に危険を予測してそれに見合った行動を取ることが重要です。
急制動をかけて最短距離で停車できるブレーキング技術を培うことも必要ですが、それ以上にフルブレーキングが必要な状況を作らないよう危険を予測して走行する方が良いわけです。

この点で、危険はライダー自身の心のゆるみから生じることが多いという点を意識したいものです。
たとえば、慣れた道だと注意がおろそかになってしまうなどの状況が考えられます。
どこにでも、またどんな時にでも危険が潜んでいるということを忘れず、いつも危険を予測しながら運転を続ける姿勢が大事なのです。

ブレーキングの基本とは?

完全に停車するためのブレーキング、コーナーに入る前に減速するためのブレーキングなど、それぞれのシチュエーションで必要なテクニックや重視するポイントは違います。
しかし、どの場合でも共通するブレーキングの基本があります。
それは、フロントブレーキとリアブレーキのバランスを取るということです。

初心者だとつい自転車の運転と同じように、ブレーキレバーを強く握り、フロントの方を強くしてしまう傾向があります。
しかし、これはフロントタイヤのロックにつながり、スリップや転倒のリスクを高めます。
そのため、前後の力をバランスよくすることがとても大事なのです。

最近のモデルには、スリップ防止のためにABSが付いていることが多いです。
これは強くブレーキをかけてもタイヤがロックしないように、自動的にブレーキの強さを調整してくれるという機能です。
確かに、緊急時にはブレーキを目いっぱいかけてABSを利かせるくらいにすることで、リスクを下げられます。

しかし、通常のブレーキングではABSがかかるほどは強くブレーキをかけず、ストップするまでの距離などを考えて調節する必要があります。
また減速した時に体が前のめりにならないように、下半身でしっかりとバイクを抑え体の姿勢をキープすることも安全に停車するための基本と言えます。